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日商簿記2級 過去問分析

配点・内容について
第1問(20点)

第1問では、毎回仕訳問題が5問出題されており、今後もこの傾向は変わらないと思います。

新範囲になってから、仕訳問題のレパートリーが増えており、過去に類を見ない問題が多く出題されていますので、どこまで対応できるかが合格の鍵を握ってくるでしょう。

これらは、過去の仕訳を暗記しても対応できませんし、テキストの仕訳例を暗記してもそのまま出題されるわけではないので、対応できません。個々の論点の理解を怠らず、基礎的な部分をしっかり積み上げるほかないかと思います。ただし、1~2問は過去問のリピートであることが多いため、出題例を知るために過去問も参考にするとよいかと思います。

第2問(20点)※第2問の点数は変動する可能性もあります。

第2問は、固定資産取引、有価証券取引、商品売買取引などの個別論点が主に出題されます。株主資本等変動計算書などの出題実績もあるため、問題の中で最も自由に出題できる場所が第2問です。何が出題されるかは分からないため、日々の学習で培った基礎力が鍵となります。

個別論点の学習をしっかり行ったうえで、模擬問題等を確認し、できなかった箇所はフォローを怠らないように心がけて下さい。

第3問(20点)※第3問の点数は変動する可能性もあります。

第3問は、貸借対照表や損益計算書、精算表の作成など、決算に関する問題です。特に近年は、財務諸表の表示に重点を置いた出題がなされる傾向にあります。

ひとつひとつの決算整理事項に関する難易度が年々高まっていますが、理解して基礎力を付けていれば、対応できる問題が多いかと思います。ただし、本当に解けないような問題(2級の試験レベルでない)も稀に存在するので、模擬問題や過去問題で、捨てるべき問題を見極める力もつけましょう。

第4問(20点)

主に費目別計算、部門別計算、個別原価計算、本社工場会計などが出題されます。費目別計算の比率が大きく、かつ過去問類似の出題が多いため、工業簿記の一巡が理解できており問題慣れしていれば、解答は容易だと思われます。

ただし近年、難易度は高くないものの、理解していないと解けないような出題の仕方が目立ちます。解き方を覚えるだけではなく、項目に関する根本的な理解が必要だと感じます。

第5問(20点)

主に総合原価計算や標準原価計算、直接原価計算、CVP分析などが出題されます。また近年、難易度は高くないものの、理解していないと解けないような出題の仕方が目立ちます。解き方を覚えるだけではなく、項目に関する根本的な理解が必要だと感じます。

出題傾向と合格率
試験回 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 合格率 個別総評へ
第147回 仕訳問題 企業結合/連結会計 損益計算書 本社工場会計 標準原価計算 総評
第146回 仕訳問題 銀行勘定調整表 精算表 標準原価計算 単純総合原価計算 47.5% 総評
第145回 仕訳問題 株主資本等
変動計算書
貸借対照表 部門別計算 直接原価計算 25.0% 総評
第144回 仕訳問題 商品売買 精算表 費目別計算 単純総合原価計算 13.4% 総評
第143回 仕訳問題 固定資産 損益計算書 個別原価計算 標準原価計算 25.8% 総評
第142回 仕訳問題 株主資本等
変動計算書
貸借対照表 標準原価計算 工程別総合
原価計算
14.8% 総評
第141回 仕訳問題 有価証券 精算表 本社工場会計 直接原価計算 11.8% 総評
第140回 仕訳問題 伝票会計 損益計算書 標準原価計算 等級別総合
原価計算
34.5% 総評
第139回 仕訳問題 固定資産 貸借対照表 部門別計算 CVP分析 21.8% 総評
第138回 仕訳問題 株主資本等
変動計算書
貸借対照表 個別原価計算 単純総合原価計算 26.4% 総評
第137回 仕訳問題 銀行勘定調整表 損益計算書 費目別計算 組別総合
原価計算
34.6% 総評
第136回 仕訳問題 伝票会計 本支店会計
(内部利益・未達取引含む)
費目別計算 直接原価計算 41.6% 総評
第135回 仕訳問題 固定資産 精算表 部門別計算 標準原価計算 22.5% 総評
個別総評
第1問
改正論点である為替予約(振当処理)やリース会計が出題されました。過去に出題された内容に類似した問題も出題されましたが、応用的な出題も多く、全体的な難易度は高めでした。
第2問
改正論点である連結会計と合併に関する出題でした。合併に関する仕訳は過去にも出題があり、のれん勘定の記入についても、難しい点はなかったため、正答が望まれます。なお、連結会計については、個別財務諸表上の株式の取得、評価及び連結財務諸表の連結修正仕訳が出題されており、個別財務諸表と連結財務諸表の繋がりを理解しているかがポイントとなります。
第3問
損益計算書の作成に関する出題でしたが、過去の出題よりもやや問題量が少なめであったように感じられます。損益計算書の表示区分を理解しているかがポイントとなります。
第4問
本社工場会計における工場の仕訳を問う問題でした。素材の払出単価の計算を注意すれば、満点が狙える問題であると思います。
第5問
標準原価計算において仕掛品勘定および損益計算書の一部を作成する問題でした。仕掛品勘定の記入はパーシャルプランを採用しているため、当月投入原価が実際発生額で記入され、仕掛品勘定において原価差異が認識される点がポイントとなります。
第1問
仕訳問題は改正論点の固定資産の圧縮記帳が出題されましたが、その他は平均的なレベルの出題でした。
第2問
現金預金に関する問題です。過去に出題された銀行勘定調整表の作成及び修正仕訳が出題されましたが、過去の出題内容とほぼ同じであるため、出来る限り得点したい問題です。
第3問
精算表作成問題です。改正論点である外貨建取引や期中における増改築工事の完了など計算がやや難しい点もありますが、その他は平均的なレベルの出題でした。
第4問
標準原価計算のシングル・プランを採用した場合における勘定記入を問うた問題でした。シングル・プランの場合、仕掛品勘定の記入はすべて標準原価を用いて記入が行われるため、仕掛品勘定では価格差異及び数量差異が認識されず、各原価要素の勘定で差異が認識されることとなります。その点だけ注意して頂ければ、満点が狙える問題であったと思います。
第5問
仕損が発生した場合の単純総合原価計算の問題でした。問題文に解答を出すためのアプローチが全て指示されているため、問題文をしっかり読めば迷う箇所は見当たらないと思います。但し、売上原価の算定まで問われているので、製品原価算定後の勘定の流れまで合わせて理解して頂く必要があります。
第1問
基本的な仕訳問題です。ただし、吸収合併によって負ののれんが生じる場合の勘定科目が、「のれん」か「負ののれん発生益」で迷った受験生も多かったのではないでしょうか。
第2問
株主資本等変動計算書に関する問題です。その他有価証券評価差額金の計上が初出題されました。今後もメジャーな論点になってくると思うので、しっかりフォローを行ってください。その他の論点については基本的な項目ですので完答が望まれます。
第3問
貸借対照表の作成に関する問題です。短期・長期の区分や月割計算などを正確に行うことができるか否かがポイントとなります。
第4問
部門別計算に関する問題です。月末仕掛品原価の計算と完成品原価の按分がやや難しかったかと思います。
第5問
直接原価計算に関する問題です。全部製造原価の内訳を推定するなどやや難解な部分があったため、完答は難しかったのではないでしょうか。
第1問
やや難解な仕訳問題です。固定資産の売却、クレジット販売、有価証券の追加取得については正答が望まれます。ソフトウェアについては文章をしっかり読めれば解答は可能ですが、初めての勘定科目が用いられているため、正答は容易ではないと思います。
第2問
商品売買に関する問題です。商品の流れを正確におさえ、値引きや割引などの会計処理を理解しているか幅広く問われています。そのため問題の難易度としてはやや高めですが、解答できるところをしっかり解答してほしいと思います。
第3問
精算表の作成に関する問題です。目新しい内容もありませんのでしっかり解答し、得点源にしていただきたい問題です。
第4問
材料費を中心として、製品製造原価を勘定で計算する問題です。実際に工場で各原価要素が消費され、製品の製造原価の計算に算入されるまでの一連の流れをイメージできるかどうかが本問を解くうえでのポイントになったのではないかと思います。
第5問
投入原料が2種類ありそれぞれの投入形態が異なる場合の単純総合原価計算の問題です。ケアレスミス等がなければ、満点が狙える問題ではないかと思います。また、最後の完成品総合原価を算出する際に、仕損品の評価額を控除することを忘れないよう注意する必要があります。
第1問
基本的な仕訳問題です。改正範囲が適用される初めての試験ですが、改正論点の出題はなく、過去の問題と類似するものであるため、完答が望まれます。
第2問
固定資産に関する問題です。固定資産の種類が多く、総勘定元帳及び固定資産管理台帳の記入と解答量も多いため、いかに正確に、そして迅速に解答できるかがポイントとなります。
なお、改正論点であるソフトウェアの出題がありますが、通常の固定資産と同様に考えればよいので、難しくはなかったかと思います。ただし、貸借対照表を作る問題では、ソフトウェアは無形固定資産になる点に注意してください。
第3問
損益計算書に関する問題です。改正部分の出題が一部(クレジット売掛金、その他有価証券)ありますが、損益計算書作成上は直接関係するものはなく、出題も基本的な論点の出題です。
第4問
個別原価計算に関する問題です。個別原価計算の場合、製造指図書原価が当月の売上原価に計上されるか、または仕掛品や製品として棚卸資産に計上されるのかを原価集計表の備考欄により判断するため、注意が必要です。
第5問
標準原価計算に関する問題です。シンプルな差異分析の問題ですが、有利不利の判断を借方差異と貸方差異で問われています。したがって、差異が計上されるときの仕訳、勘定記入をイメージできるかが理解への鍵となります。
第1問
基本的な仕訳問題です。過去に出題された問題に類似する問題であったため、完答が望まれます。
第2問
株主資本等変動計算書に関する問題です。合併に関する株主資本の変動がありますが、基本的なレベルの出題です。
第3問
貸借対照表に関する問題です。長期前払費用や借入金の短期・長期の分類などに特に注意する必要があります。
第4問
標準原価計算に関する問題です。月初・月末の仕掛品もなく易しい問題ですが、能率差異を変動費のみから把握する点に注意が必要です。
第5問
工程別総合原価計算に関する問題です。第2工程における原料の追加投入について、適切な計算ができるかが鍵となります。
第1問
やや難解な仕訳問題です。増設工事に係る共通工事費の按分や仕入割戻の純額での支払いなど、過去に見られないような出題がありますので、やや得点しづらいと思われます。
第2問
有価証券に関する問題です。売買の回数や端数利息が多く、売買目的・満期保有目的とケースごとに計算しなければならないことや、総勘定元帳の記入の仕方など広範囲にわたる出題の仕方のため、得点することが難しい問題です。
第3問
精算表の作成問題です。第1問や第2問が難しい反面、対称的に第3問は基本的な論点の出題となります。完答が望まれます。
第4問
本社工場会計に関する問題ですが、本社との取引が少ないため、本社工場会計が苦手な受験生でも半分以上は解答できたのではないでしょうか。
第5問
CVP分析に関する問題です。単純な問題ですが、問3や問5などは、素直な出題ではなく、CVP分析の考え方を理解した上で、その応用が利くかを問うています。
第1問
基本的な仕訳問題です。過去に出題された問題に類似する問題であったため、完答が望まれます。
第2問
伝票会計に関する問題です。ここ最近は、5伝票制がメインであったためパターン的に解く勉強をしていると解答することは難しかったかと思います。ただし、基本的な問題であることには変わりないため、得点してほしいところです。
※ 5伝票制は範囲改正によって削除されました。現在は3伝票制のみ出題可能性があります。
第3問
損益計算書に関する問題です。未処理事項と決算整理事項が密接に関連しているため、それらを適切に処理できるかが問われています。応用的な内容もありますが、計算自体は細かいものではないため、得点できる部分を解答していくことが必要です。
第4問
標準原価計算に関する問題です。月初も月末も仕掛品がなく、難易度は格段に低いため、完答が望まれます。
第5問
等級別総合原価計算に関する問題です。仕損費はすべて完成品負担であり、等級製品への按分は簡便法によって行う単純な問題ですので、完答が望まれます。
第1問
やや難解な仕訳問題です。受取利息の源泉所得税を絡めた出題や固定資産税の未払を問う出題など、通常の受験生があまり対策しない仕訳が何問かありますので、若干得点しづらい問題です。
第2問
固定資産に関する問題です。基本的なレベルの出題ですので完答が望まれます。
第3問
貸借対照表・損益計算書に関する問題です。決算整理事項として消費税や減価償却の記帳方法が直接法によっているものの貸借対照表の表示は間接控除方式に修正するなど、若干ひねった出題もありますが、基本的なレベルの出題です。
第4問
部門別計算に関する問題です。予算差異と操業度差異以外は、必ず得点したい問題です。
第5問
直接原価計算とCVP分析に関する問題です。基本的なレベルの出題ですので、完答が望まれます。
第1問
基本的な仕訳問題です。過去に出題された問題に類似する問題であったため、完答が望まれます。
第2問
株主資本等変動計算書の作成に関する問題です。「吸収合併」を除き、期中仕訳は基本的なレベルの出題ですが、株主資本等変動計算書が初出題であったため、面食らった受験生もかなり多いと思います。しかし、答案用紙にあらかじめ印刷された数値や(  )で解答すべき箇所が示されており、配慮も感じられますので、部分点を狙いたい問題です。
第3問
貸借対照表に関する問題です。決算整理事項はやや多い出題となっています。また、減価償却や前払費用(保険料)など、簿記の一巡における期中仕訳と整理仕訳とは異なり、実務上見られる処理によっているので注意が必要です。よって、粘り強く解答を埋めていく必要があります。
第4問
個別原価計算に関する問題です。基本的なレベルの出題ですので、落ち着いて解答すれば高得点が期待できる問題です。
第5問
減損を含む単純総合原価計算に関する問題です。「完成品のみ負担」又は「両者負担」を判断できるかが鍵となります。
第1問
基本的な仕訳問題です。過去に出題された問題に類似する問題であったため、完答が望まれます。
第2問
銀行勘定調整表の問題ですが、基本的な事項を問う問題ですので、しっかり理解ができていれば完答が望まれます。
第3問
損益計算書に関する問題です。減価償却費が月次で計上済みであったり、経過勘定項目(未収利息・未払利息)について自分で金額を計算したりする点など、過去問にはあまり見られない出題ではありますが、それ以外は平均的な出題です。
第4問
製造原価報告書の作成に関する問題です。製造間接費配賦差異の取扱いについて注意すれば、完答できる問題です。
第5問
組別総合原価計算に関する問題です。損益計算書の作成まで十分に解答可能なレベルですので、完答が望まれます。
第1問
基本的な仕訳問題です。過去に出題された問題に類似する問題であったため、完答が望まれます。
第2問
伝票会計に関する問題です。一部推定する箇所があるので,各伝票の内容を読み取り,総勘定元帳や得意先元帳とのつながりを把握できるかがポイントです。
第3問
本支店合併損益計算書に関する問題です。決算整理事項はごく一般的なものばかりですので,高得点を狙いたい問題です。
第4問
個別原価計算に関する問題です。出題頻度の低い材料副費や製造間接費の差異分析についての計算がやや難しいと思いますので,それ以外の問を確実に得点すべきです。
第5問
直接原価計算に関する問題です。基本的なレベルの出題ですので,全部原価と直接原価との特徴を押さえれば,高得点が期待できると思います。
第1問
基本的な仕訳問題です。過去に出題された問題に類似する問題であったため、完答が望まれます。
第2問
固定資産に関する問題です。前回(現金預金取引)に引き続き、見慣れない出題形式ですが、基本的な仕訳が問われているので落ち着いて解答したい問題です。
第3問
精算表に関する問題です。決算整理事項は出題量および難易度も標準的ですが、ケアレスミスをしないように順次解答できるかがポイントです。
第4問
部門別計算に関する問題です。製造部門費の予定配賦について理解しているかが鍵です。
第5問
標準原価計算の問題です。久しぶりの出題ですが、製造間接費の差異分析に関する基本的な出題ですので、完答が望まれます。