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全経簿記上級(商業簿記・会計学)過去問分析

配点・内容について
商業簿記(100点)

基本的に問題1は仕訳問題、問題2は総合問題という出題がされます。

問題1の仕訳問題については、各論点の一連の仕訳や連結会計における連結修正仕訳が問われることが多いです。

問題2は総合問題として、決算整理前試算表から決算整理仕訳を加えた後の損益勘定、(閉鎖・決算)残高勘定の勘定記入を問われることが多いですが、まれに連結精算表や本支店合併精算表の作成が問われることもあります。

総合問題が商業簿記の大きな得点源となりますので、総合問題の点数が伸び悩む受験生の方はまずは個別論点をしっかりと定着させましょう。

会計学(100点)

基本的に問題1は正誤問題、問題2は理論問題、問題3は計算問題(又は理論問題)という出題がされます。

問題1の正誤問題は、問題用紙の文章のうち正しいものに○、誤っているものに×および根拠を記入するもので、会計学の大きな得点源となることから、およそ7割~8割正答することが望ましいです。

問題2・問題3の理論問題および計算問題は、各論点の理論および計算を問われるものですが、計算と理論は表裏一体の関係であることから、普段より計算を学習しているときには理論的裏付けを考え、理論を学習しているときには計算をイメージする学習が必要となります。

全体的の難易度としては、問題2が難しい時には問題3が易しく、問題2が易しい時には問題3が難しい場合が多いため、得点できる場所を見極め、いかに正答できるかがポイントとなります。

出題傾向と合格率
試験回 商業簿記 会計学 合格率 個別総評へ
第187回 ①仕訳問題―連結会計、電子記録債権 勘定記入―純資産会計
②総合問題―損益勘定
①正誤問題
②計算問題―企業会計原則等
③計算問題―会計上の変更等
総評
第185回 ①仕訳問題―本支店会計、リース
②総合問題―損益・閉鎖残高勘定
①正誤問題
②計算問題―退職給付会計
③計算問題―CF計算書
18.8% 総評
第183回 ①仕訳問題―資産除去債務、オプション
②連結会計―連結精算表
①正誤問題
②理論問題―資産の部の表示
③理論問題―財務分析
17.8% 総評
第181回 ①仕訳問題―連結、電子記録債権
②総合問題―損益・残高勘定
①正誤問題
②理論問題―資産除去債務
③理論問題―財務分析
18.0% 総評
第179回 ①仕訳問題―吸収合併、株式移転
②総合問題―損益・閉鎖残高勘定
①正誤問題
②理論問題―有価証券の売買認識
③計算問題―利息別法
21.4% 総評
第177回 ①理論問題―評価勘定、仮勘定
②総合問題―損益・閉鎖残高勘定
①正誤問題
②理論問題―段階取得
③計算問題―CF計算書
16.3% 総評
第175回 ①仕訳問題―連結会計
②総合問題―損益・残高勘定
①正誤問題
②理論問題―会計上の変更等
③計算問題―株主資本等変動計算書
20.5% 総評
第173回 ①仕訳問題―連結会計
②総合問題―損益・閉鎖残高勘定
①正誤問題
②理論問題―貸借対照表の表示
③理論問題―連結会計
14.0% 総評
第171回 ①仕訳問題―連結会計、持分法会計
②総合問題―損益・残高勘定
①正誤問題
②理論問題―純資産会計
③計算問題―財務分析
16.1% 総評
第170回 ①理論問題―帳簿記入、決算方式
②総合問題―損益勘定、繰越試算表
③仕訳問題―連結会計
①正誤問題
②理論問題―引当金
③理論問題―財務分析
16.4% 総評
第168回 ①特殊商品売買―損益計算書
②本支店会計―合併精算表
①正誤問題
②理論問題―資産会計(費用性資産)
③計算問題―CF計算書
17.4% 総評
個別総評
◆商業簿記
問題1
連結会計に関する仕訳、電子記録債権に関する仕訳、純資産に関する勘定記入の3つが問われています。連結会計は、段階取得による支配獲得の仕訳を問われており、電子記録債権は、譲渡記録時(手形における割引時)の仕訳、純資産に関しては自己株式の処分、消却、剰余金の処分、配当、その他資本剰余金の補填など幅広く問われています。どれも基本的なものであるため、最低でも2問程度は完答していただきたい問題でした。
問題2
通常の総合問題ですが、問題1と合わせると、やや量が多い感じもします。内容は商品売買における売上原価対立法の会計処理、社債発行差金の利息法による償却を除き、基本的なものですが、法人税等の実効税率が30%になっていた点に留意しなければなりません。
◆会計学
問題1
全体的に基本的な問題だったと思います。ただし、一見して分かりにくい文章が数か所見られますので、6~7問程度正解できればいいのではないでしょうか。
問題2
企業会計原則からの出題です。伝統的な理論からの出題だったため、新しい基準の理論を重点的に学んできた受験者にとっては盲点だったかもしれません。特に繰延資産について、国際会計基準では一部を除いて資産計上することが認められていないため、日本の基準でもこれを取り入れるかどうか検討中のホットな論点です。現在、なぜ日本の基準では、繰延資産を計上できることになっているのか、この理解を問う重要な問題でしたので、復習を怠らないようにしたいところです。
問題3
会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準からの出題です。計算内容は基本的なものでしたが、全経上級独特の数値の増減を答えさせる出題でしたので、答えにくかった受験生も多いのではないでしょうか。仮の金額を当てはめてみて、計算と理論、そして会計数値としての結果まで、同時に押さえて下さい。
◆商業簿記
問題1
本支店会計の内部利益の整理およびリース取引における貸手側の会計処理が問われており、リース取引については、通常は借手側の会計処理を問われることが多いため、解答できなかった受験者の方も多いと思います。
問題2
総合問題は、売上原価の算定における試用販売の売上および返品の処理などのやや複雑な計算や、ソフトウェアの均等配分額に基づく償却などに注意する必要がありますが、全体的に基本的な問題でした。
◆会計学
問題1
四半期連結財務諸表の範囲を除き、全体的に誤った文章について分かりやすい誤りが多かったため、正答しやすい問題でした。
問題2
退職給付会計は退職金の支払や退職給付費用の計上の基本的な計算が問われていましたが、問3の仕訳の解答については、どのような仕訳を解答してよいか困惑した受験者の方もいらっしゃったと思います。
問題3
投資有価証券の購入による支出を除き、全体的に基本的な論点でした。
◆商業簿記
問題1
資産除去債務の発生確率による見積りおよびオプション取引の一連の会計処理が問われており、特に発生確率の見積りは細かい論点のため、正答は難しかったと思われます。
問題2
資本連結、債権債務の相殺消去、内部利益の消去(棚卸資産、償却資産)などの基本的事項が出題されていました。
◆会計学
問題1
全体的に基本的な問題でしたが、企業結合における取得関連費用は、改正によりその事業年度の費用として処理されることとなったため、注意が必要です。
問題2
資産の部の表示は特に資産の流動と固定の分類や繰延資産が問われており、表示方法だけでなく、その根拠も考えた学習を日頃から行っていないと解答が難しい問題でした。
問題3
財務分析の各指標の計算式およびその意味が出題されました。本問では、計算式が解答できることやその計算式により算出される結果がどのような意味を持つのかも問われています。よって、計算だけでなく、その根拠と結び付けて考えることが重要となります。
◆商業簿記
問題1
期首と期末棚卸資産に係る未実現利益の消去の連結修正仕訳および電子記録債権債務の会計処理が問われており、未実現利益の消去についてはアップ・ストリームであったため、完答はやや難しかったと思われます。なお、連結修正仕訳は財務諸表の表示科目により修正するため注意が必要です。
問題2
(外貨建)有価証券について4つの保有目的全てが出題され、また支払地代について毎年同額を支払っていることから、再振替仕訳・期中仕訳の流れを捉え、決算整理前残高試算表の金額が何か月分かを計算する点がやや難しい点でした。
◆会計学
問題1
全体的に基本的な出題でしたが、営業損益計算の区分や債権の区分など正しいか誤っているか判断することが多少難しいものが含まれていました。
問題2
資産除去債務の会計処理は現行上、「資産負債の両建処理」が採用されていますが、「引当金処理」によった場合の会計処理および根拠も問われていたため、少し細かい論点でした。
問題3
財務分析は各指標の計算式は理解している前提のもと、計算式を用いて財務諸表の各金額を算定させる応用的な問題が出題されました。
◆商業簿記
問題1
吸収合併は自己株式の処分による処分差益をその他資本剰余金として計上するのではなく、合併契約書の定めに基づいて株主資本を計上する点、株式移転は、個別財務諸表上はのれんが計上されないことや、子会社株式(X社株式・Y社株式)の取得原価の決定に注意しましょう。
問題2
外貨建取引、デリバティブ取引、退職給付会計、社債、純資産会計など幅広く出題されており、個々の論点における理解度が問われる問題でした。出題量も多いため、解答すべき点を判断する判断力を養うことが大切です。
◆会計学
問題1
個別財務諸表の付属明細書を除き、基本的な問題でした。
問題2
有価証券の売買の認識は「約定日基準」と「修正受渡日基準」における会計処理をしっかりと理解しておけば、正答できる問題でした。
問題3
商品売買取引について通常は金利部分を区分処理しないため、区分する方法による会計処理についてはなじみがあまりなく、さらに利息部分について利息未決算勘定を用いているため、正答は難しいと思われます。
◆商業簿記
問題1
5要素に該当しない特殊な勘定(評価勘定や仮勘定)について問われた問題であり、その代表例を解答できない方が多かったかと思われます。
問題2
オプション取引やソフトウェアの均等配分額に基づく償却、為替予約において予約時に債権債務を両建てで計上している点などに注意する必要がありますが、全体的に基本的な問題です。
◆会計学
問題1
資産の低廉取得(公正な評価額に比べて著しく低い支出額で取得すること)の場合の取り扱いについて、会計諸基準上明確な基準はありませんが、実質的に贈与その他無償で取得した資産と同様のため、公正な評価額で評価することに注意が必要です。なお、その他の項目は基本的な出題でした。
問題2
段階取得は計算問題ではなく、会計基準の空欄補充等及び段階取得に係る差損益の計上根拠の記述であり、特に計上根拠については解答することが難しいように思われます。
問題3
キャッシュ・フロー計算書の各項目については営業収入や仕入支出などの基本的項目のため、正答したい部分です。
◆商業簿記
問題1
期末棚卸資産および償却資産の未実現利益の消去についての連結修正仕訳を問われた問題であり、基本的な問題であるため、未実現利益の消去についてはアップストリームであることに注意してください。
問題2
有価証券、貸倒引当金、売上原価の算定など基本的な論点をしっかりと正答することと、全経特有の利息調整額部分につき社債発行差金勘定を用いている点に注意する必要があります。全体的には、基本的な問題です。
◆会計学
問題1
四半期連結財務諸表の性格を除き、全体的に誤った文章について分かりやすい誤りが多かったため、正答しやすい問題でした。
問題2
会計基準の空欄補充及び商品の会計方針の変更した場合の計算や根拠ですが、正答するのが難しいため、正答出来るところを確実に解答することが重要です。
問題3
配当金の支払時には、問題上の指示がなくても準備金の積立てを行うことが必要ですが、本問の場合、資本金に基づく準備金積立限度額に達するため、注意が必要です。なお、この他については、基本的な問題であるため、完答したいです。
◆商業簿記
問題1
連結会計における資本連結や持分法については、基本的な問題のため正答すべきですが、連結会計における配当金の修正については、問題文で与えられる配当金の額がP社の受取額であるため、割り戻して総額を算出する必要があります。
問題2
貸倒引当金、有価証券、社債の償却原価法の適用など基本的な問題ですので、いかに正確にできるかがポイントとなります。
◆会計学
問題1
資産の低廉取得、本支店会計における照合勘定の一致等、会計諸基準の内容をただ覚えるだけではなく、その場で自ら考えるような問題が出題されました。
問題2
貸借対照表の表示は、資産・負債の表示区分、純資産の内訳、準備金の積立などの空欄補充やそれらの根拠の出題がされ、知識的な面と考えることの両者が問われています。
問題3
債権債務の相殺消去の根拠や取得原価主義の考え方が出題され、理論問題のみの出題だったため、計算だけでなく理論的な裏付けがきちんとできているかが問われた問題でした。
◆商業簿記
問題1
棚卸資産の未実現利益の消去および手形割引の連結修正仕訳を問われた問題であり、基本的な問題です。
問題2
有価証券、貸倒引当金、減価償却、退職給付など基本的な問題でした。今回は、会計学に時間がかかることが想定されるため、いかに迅速かつ正確に解答できるかがポイントとなります。
◆会計学
問題1
過去の形式とは異なり、解答用紙に直接問題文が記載され、それを直接修正する形式であったため、注意が必要です。
問題2
資産負債アプローチの考え方を基に、純資産会計を中心とした問題が出題され、個別財務諸表と連結財務諸表の相違点等を理解しておく必要がありました。
問題3
問題上与えられた財務諸表の各数値に一定の取引を加えると、各数値がどのように変動するか、また、財務分析における指標がどう変動するかが問われた問題でした。計算が出来るだけでなく、指標がどのように変動するかも合わせて考える必要があったため、時間がかかることが想定されます。
◆商業簿記
問題1
理論問題の出題にも関わらず、問題の大半を占めるほどの出題量であったため、文章を読み、把握するまでに時間がかかることが想定されました。
問題2
外貨建有価証券、減損会計、除去債務の計上、会計上の見積りの変更、税効果会計など時間のかかる論点が出題されました。全体的に問題量が多く、難易度も易しいものではないため、解答できる部分を正確に解答することが必要になります。
問題3
基本的な論点だったため、問題1・問題2で点数が伸びない分、問題3はできれば完答したい問題でした。
◆会計学
問題1
全体的に基本的な問題でした。
問題2
引当金は、企業会計原則における引当金の計上要件(4つ)や負債性引当金、評価性引当金、その他表示方法が問われており、理論問題のみの出題でした。
問題3
基本的な論点の出題で、理論問題重視の出題の内容であったと思います。
◆商業簿記
問題1
特に割賦販売について、割賦販売における利益(利息部分)を利息調整勘定で処理しているため、貸倒れについて期中でどのような処理をしているのか注意する必要があります。
問題2
未達取引の整理および合併精算表上の修正仕訳について問われたものであり、営業費の未達などを除けば、基本的な問題でした。
◆会計学
問題1
連結財務諸表に関する理論が3問も出題されましたが、全体的に基本的な問題でした。
問題2
資産会計は収益費用アプローチと資産負債アプローチの考え方を中心として横断的に出題されているため、各資産論点をぶつ切りにして考えるのではなく、一つの線としてつなげた学習が必要となります。
問題3
キャッシュ・フロー計算書は基本的な問題であったため、できる限り正答すべき問題であります。