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日商簿記1級(工業簿記・原価計算) 過去問分析

配点・内容について
工業簿記(25点)

工業簿記では、標準原価計算が多く出題されています。ただし、以前は「製造原価の数値計算」のイメージが強かった日商簿記検定ですが、近年では複式簿記の原理(仕訳、勘定など)に重点を置いた問題も多くなってきているため、難しい問題の計算パターンをひたすら覚えるのではなく、基礎力と応用力の両方を磨く必要があります。

原価計算(25点)

原価計算では、特に長期意思決定が多く出題されています。また、近年、品質原価計算などの過去に出題実績が少ない問題が出題される傾向にあるため、伝統的な論点に加え、新たな管理会計の論点(戦略的原価計算)にも注意を払いながら学習することをお勧めします。

出題傾向と合格率
試験回 工業簿記 原価計算 合格率 個別総評へ
第147回 ① 個別原価計算×品質原価計算 ① 連産品×短期意思決定
② CVP分析
総評
第146回 ① 部門別計算
② 部門別計算(理論)
① 営業費分析×活動基準原価計算
② 価格決定
③ チョコ停ロス差異等
8.8% 総評
第144回 ① 標準原価計算(理論)
② 標準原価計算×原価差異の会計処理
① 長期意思決定
② 事業部の業績測定
9.3% 総評
第143回 ① 単純総合原価計算
② 原価差異の会計処理(理論)
① 品質原価計算×短期意思決定 10.9% 総評
第141回 ① 工業簿記の一巡
② 部門別計算(理論)
① 短期意思決定×CVP分析
② 事業部の業績測定
9.6% 総評
第140回 ① 本社工場会計 ① 長期意思決定 8.8% 総評
第138回 ① 標準原価計算
② 標準原価計算(理論)
① 直接原価計算(理論)
② CVP分析×予算実績差異分析
8.8% 総評
第137回 ① 原価計算制度総論(理論)
② 工程別総合原価計算×組別総合原価計算
① 直接原価計算
② 直接原価計算(理論)
9.7% 総評
第135回 ① 工業簿記の一巡
② 費目別計算(理論)
③ 標準原価計算(理論)
① CVP分析
② CVP分析
③ 短期意思決定
10.4% 総評
第134回 ① 標準原価計算×工程別総合原価計算 ① 長期意思決定 9.7% 総評
第132回 ① 標準原価計算×工程別総合原価計算
② 標準原価計算(理論)
① 短期意思決定
② 短期意思決定
③ 長期意思決定
12.9% 総評
第131回 ① 組別総合原価計算 ① 予算実績差異分析 12.2% 総評
個別総評
◆工業簿記
第1問
ロット別個別原価計算に品質原価計算を絡めた出題でした。内容としては平易であり、解きやすい問題だと思われます。問1のポイントとして、材料は第1工程始点で全量投入されるため、第2工程で発生した補修費に直接材料費はかかりません。誤って含めてしまうと連鎖的に失点してしまうため、注意が必要です。問2、3は、品質原価計算の基本的な考え方やPAF法における分類を問われています。3つの原価が製造・販売過程のどのタイミングで発生するものかの理解が必要です。
◆原価計算
第1問
連産品の原価計算(意思決定を含む)に関する一連の問題でした。内容は難しい箇所も数問ありますが、ほとんどが基本的な設問であり、他の科目と比較すると、高得点が期待できます。連産品の原価計算に関しては、等価係数を用いた結合原価の按分がポイントになります。必然的に派生する連産品は、同じ数量だからといって、同じ価値とはいえないので、市場価格等にもとづく、負担力主義の等価係数を用いた計算を行います。追加加工時の外注か自製かの意思決定に関しては、結合原価が埋没原価になる点がポイントになります。追加加工時に外注と自製のどちらを採るかは、結合原価が既に発生した後の議論ですので、意思決定においては考える必要がありません。落ち着いて丁寧に解答すれば、完答も難しくはありません。
第2問
経営レバレッジの仕組みを用いた問題でした。「経営レバレッジ」の名称こそ出てきていないものの、変動費と固定費の関係を理解していれば簡単に解答に結び付けられます。完答が望まれる問題でした。
◆工業簿記
第1問
部門別計算に関する基本的な問題です。計算が簡単な分、資料を工夫してありますので、資料を適切に読み取り、解答する力が求められます。資料さえ単純に与えられていれば、計算は日商2級程度の難易度ですので、1級受験者の皆さんはぜひ解答していただきたい問題でした。ただし、連立方程式法に関する問は、少々解り辛い部分もありますので、解けなくても問題はないかと思います。
第2問
基本的な事項が分かっていれば解答可能であった理論問題だと思われます。問題の解き方を覚えるのではなく、計算方法を理解する学習を心掛けましょう。
◆原価計算
第1問
営業費計算に活動基準原価計算を絡ませた問題です。活動基準原価計算は、従来の部門別原価計算に代わる新しい製造間接費配賦計算として出題されることが多いですが、営業費の配賦にも用いることができます。また、計算方法についても問われているので、数字を追わせるのではなく、どのような考えで配賦していくかも理解が必要となるでしょう。
第2問
価格決定に関する問題です。単に販売価格の計算を問うのではなく、その計算を行っていく背景、その時の製品原価の位置付けについての理解が必要となります。計算方法だけを押さえていた方は、判断に迷う問だったのではないでしょうか。
第3問
製造間接費差異を、設備効率の観点から分析(チョコ停ロス差異などの分析)する問題とです。一つ一つの語句の意味を理解できないと何を比較すればよいかが分かりません。まず、オーソドックスな差異分析を行った上で、どのように比較を行っているかを確認してください。
◆工業簿記
第1問
標準原価計算の有用性に関する語句の記入問題です。標準原価計算の目的を理解できていれば、適切に解答することができるでしょう。
第2問
標準原価計算の勘定記入及び差異分析が問われています。また、久しぶりに原価差異の追加配賦も問われており、深い理解が求められています。
追加配賦は原料ごとに行う必要があるため、原料の各投入時点に基づいて適切な計算をしなければならず、容易には解答できないかと思います。原料が平均的投入の場合、加工進捗度を考慮した加工換算数量をもとに標準消費量が算定される点に注意して、計算するようにして下さい。
◆原価計算
第1問
構造的意思決定の問題です。両投資案を比較させ、評価方法の計算ができるかを問うとともに、意思決定の結論がどうなるかを横断的に問うています。簡単な問題ですので、ぜひ完答していただきたいところです。ただし、問6の5については解答できなくても問題はないかと思います。
第2問
業務的意思決定の問題です。差額原価となる変動費、埋没原価となる固定費の関係を理解して①と②を解答し、事業部の振替価格に関する理解を加えて③~⑥を解答しなければなりません。振替価格に関して深く学んでいる人は少ないと思いますので、①と②ができていればよいかと思います。できなかった問題は今後の学習を深めるために役立ててください。
本問のように、よく考えなければ解けないような問は、受験生が苦手とするところです。原価計算には解き方を覚えるだけでは対応できない問題が多いので、常に「考える」姿勢で学習するようにしてください。
◆工業簿記
第1問
仕損費、減損費の処理方法や原料の追加投入、製造間接費の差異分析等の基本的な論点と合わせて、各月の原価の流れを問うています。 例えば、当月の月末棚卸資産は翌月の月初棚卸資産となることや、3月末に繰り越される原価差異は1月、2月の原価差異も含むことなど、ただ単に各月の金額を算定して終わりではないため、注意する必要があります。
また、内容は基本的ですが、とてもボリュームがある問題です。適切に素早く解答を求められるかは、日ごろ考えながら総合原価計算を解いていたかにかかってくるでしょう。
第2問
原価差異の会計処理に関する語句の選択になります。差異分析のみでなく、その差異の会計処理がどのようになるか、原価計算基準を読んで確認していただきたいと思います。
◆原価計算
第1問
品質原価計算をベースとした意思決定の問題です。販売する製品Xの市場は競争が激しいため、本問のように、品質原価の管理体制を徹底して見直し、どうすれば製品が売れるか、機会損失を出さずに済むかを常に考える必要があります。
本問の場合は、品質原価計算が理解できていなくとも、問題をよく読み、問われていることが何かを考えることができれば十分解答可能な問題ですが、問題条件を履き違えてしまうと、次々と失点してしまう可能性もあるため、より落ちついてケアレス・ミスを防ぐことが重要だと思います。
なお、過去問題の解き方を覚える学習をされていた方は、考える力が発揮できず、難問に感じられるかもしれません。個々の論点の理解を怠らず、常に考える姿勢で日ごろの学習を行っていただきたいと思います。
◆工業簿記
第1問
費目別計算によって集計される各勘定の金額を問うています。同様の勘定科目でも、どのような目的で消費されているのかによって、製造原価に含まれるか否かが変わってきます。記載内容に注意しながら、解答してください。費目の分類は製造原価の算定の根底となる論点です。資料の多さに圧倒されがちですが、適切にひとつひとつの項目を抑えるよう学習されてください。また、外注加工賃の無償支給についても仕訳を問うています。無償支給の場合、部品原価として処理する場合と直接経費処理する場合がありますが、搬入後直ちに製造工程に投入する場合は、直接経費処理として解答する必要があります。
第2問
補助部門費の配賦計算に関する理論について問うています。なぜ、補助部門費の実際配賦と予定配賦が選択適用なのか、変動費と固定費を別々に配賦するメリットは何なのかを理解できていれば、確実に解答できたのではないでしょうか。
◆原価計算
第1問
損益分岐点分析を中心に展開された問題です。製品ごとの貢献利益を計算し、いかに適切に計算できたかが鍵となります。また、C製品を販売する場合は追加で個別固定費がかかる点に留意してください。 問題に解き方がそのまま書いてあるような出題の仕方なので、落ち着いて解くことができるならば、日頃の学習の成果を存分に発揮できる問題になると思います。
第2問
事業部の業績評価指標に関する問題です。新規プロジェクトを採用した場合の事業部長の行動について、ふたつの業績評価指標を用いていずれが望ましいかを問うています。日頃から理解中心の学びをされている方にとっては簡単な問題だったでしょう。
◆工業簿記
第1問
本社工場会計をベースとした勘定分析の問題です。見慣れない形式や、近年出題のなかった本社工場会計ということもあり、難しく感じるのではないでしょうか。
問1~問4までが勘定分析によって数値を推定する問題、問5~問8が本社工場会計(本支店会計)の知識を活用して数値を計算する問題であったと考えることができます。
考えさせる問題と処理を行わせる問題の2つを、この少ない資料から出題していることから、問題の質は良いものだと感じますので、フォローを怠らないようにしてください。
また、工業簿記の学びでは普段から「勘定」を意識しないことが多いため、勘定分析の部分が全く分からない方も多いのではないでしょうか。今後はますますパターンや暗記の勉強では対応できない試験傾向が続くと予想されます。 製造原価の計算によって得た数値が勘定でどのように記録・計算されているのかを着目して、日頃の学習を充実させることをお勧めします。
◆原価計算
第1問
長期意思決定に関する出題です。 長期間のプロジェクトのため、素早くかつ、正確に解き進めなければ完答は難しいと思われます。
まず問1では、プロジェクト期間の毎年採算撮影件数を問うています。各年の年間撮影件数をXとしてキャッシュ・フローを作成し、現在価値に割引いて算定します。
次に問2では、高性能の設備購入案の正味現在価値を問うています。解答時の単位ミスに注意していただきたいです。
最後に問3では、選択肢問題と耐用年数の異なる投資案を別の案に反復投資を前提に正味現在価値による意思決定を問うています。
別の異なる投資案に再投資する計算に関しては、あまりテキストなどにも記載されていない問題であるため、解説を参考にして復習してください。
◆工業簿記
第1問
標準原価計算からの出題であり、材料受入価格差異の把握と歩留・配合差異を含めた差異分析を中心とした問題です。問われていることはごく基本的な内容ですので、ケアレス・ミスをなくし、基本的な理解ができていれば解答できる問題であったかと思います。
ただ、材料受入価格差異を「購入原料価格差異」とし、操業度差異を「不働能力差異」とするなど、普段聞きなれない用語を用いている傾向が強いと感じました。こういった不慣れな用語が出題されたとしても、焦らず確実に解き進められるようにしてください。
なお、本問は歩留・配合差異の計算について、一連の流れを確認できる問題であったかと思います。
第2問
理論では標準原価計算における仕掛品勘定の記入方法とその特徴を問うています。単元ごとに理論と計算を結びつけ、理解を深めながら今後の学習を進めていただければよいと思います。
◆原価計算
第1問
直接原価計算に関する、原価計算基準の穴埋め問題です。普段から原価計算基準に目を通していれば容易に解答できると思います。
第2問
標準直接原価計算に関する計算問題です。比較的解き易い問題だったと思います。問1で  CVP分析が問われ、続けて損益分岐点売上高、目標営業利益を算定します。
問2及び問3は、予算統制(予算実績差異分析)を問う問題です。問3の差異分析では、販売量を基準に分析する差異と、製造量を基準に分析する差異とを区別することができるかがポイントとなります。最後に問4で、全部原価計算と直接原価計算の違いが問われています。全部原価計算と直接原価計算とでは、原価差異の金額(製造間接費に関する差異)にも差異が出てくることに注意してください。
◆工業簿記
第1問
原価計算基準前文からの理論問題です。テキスト等に掲載されていることは少ないため、知識としては全くインプットできていない方が多いのではないでしょうか。原価計算の在り方に関する重要な内容ですので、しっかりと確認するようにして下さい。
第2問
工程別組別総合原価計算に関する問題です。難易度としては比較的易しめですが、ケアレス・ミスをしないように、落ち着いて、正確に解き進める必要があります。なお、工程別組別総合原価計算では通常、各工程や製品に仕掛品勘定が設けられていることが多いのですが、本問では仕掛品勘定が1つしか設けられていません。したがって、全ての工程の製品製造原価データを集計する必要があります。
◆原価計算
第1問
直接原価計算をベースとした、工程別総合原価計算の問題です。加工費の配賦率が時間等ではなく、金額基準(直接加工費基準)であるため、注意が必要です。計算の基礎概念がしっかり理解できていれば難なく解答できる問題ではないでしょうか。
第2問
分かったつもりになっている項目について、微妙な言い回しで誤答を狙っているような問題です。直接原価計算については、固定費の取り扱いがよく問われるため、計算と理論を結び付け、確実な理解を心がけてください。
◆工業簿記
第1問
工業簿記の一巡に関する出題です。ひとつひとつの原価を計算する必要はなく、与えられた金額を勘定にあてはめ、原価の流れがしっかり理解できているか否かを問うた問題です。一部勘定の推定がありますので、簿記的な思考に慣れていなければ解答が難しいと思います。ただし、内容的には日商2級程度の基本的な内容ですので、できなかった場合は、しっかりフォローをしておいてください。
第2問
原価計算基準より出題です。材料費の主に取得原価をどのように決定するかに軸が置かれており、計算を常に理論的に押さえている受験生は解答できたのではないでしょうか。
第3問
聞き慣れない言葉があり、解答できない箇所が多いのではないでしょうかただし、冷静に読めば一部解答できる箇所もありますので、問題を見極める力を付けて下さい。
◆原価計算
第1問
CVPの基本的内容からの出題です。売上高から変動費を差し引いた貢献利益で固定費を回収する考え方をベースに解き進めてください。
第2問
変動費率が変化した場合の損益分岐点売上高と安全余裕率に関する出題です。こちらも第1問と同様基本的な考え方を問うています。
第3問
業務執行的意思決定からの出題です。材料を切り替える場合と切り替えない場合は、いずれもフル操業であり、加工費はすべて埋没原価となります。詳しくは解説の方で説明します。特に第3問については、力を付け始めてきた方にとって、実力を試す良い問題になると思います。
◆工業簿記
第1問
標準原価計算に関する出題です。問1において修正パーシャル・プランの勘定記入ができるかを問うています。仕掛品勘定が工程ごとに分かれていないため、各工程の原価標準を作成できるかが鍵となります。
問2以降は、原価差異の分析が問われています。各工程の当月投入量に対する標準消費量と実際消費量との差が原価差異であり、差異分析の基本です。BOX図を作成し、各工程の投入量を把握することが重要となります。
標準原価計算を苦手とする受験生も多いのですが、仕掛品勘定の記入や差異分析ができないのは、計算式の丸暗記やパターンによる解き方で、頭に無理矢理詰め込もうとするからです。暗記が全く必要ないわけではありませんが、意味も分からず丸暗記することははっきりいって無意味かつ非効率です。計算の根底にある理屈を理解し、考えながら頭に覚えさせていけば、スムーズに解き進めていくことができます。本質を理解しない勉強は、技術ではなくその場しのぎの知識にしかなりません。「本物の力」を身に付けるため、「思考力を養う学習」を心がけていただきたいと思います。
◆原価計算
第1問
長期意思決定に関する問題です。特に解答しにくい箇所もない基本的な問題です。ただ問3の回収期間について、端数処理の指示がないため、解答が明確に出せません。答案用紙の単位が「年」であるため、2年という解答が正しいようにも思えますが、端数処理がない以上、1.999年なども不正解にはできないと思います。
なお、長期意思決定に関する過去問題は難易度が高いもの多いのですが、今回の問題はほどよい難易度であるため、長期意思決定を学ぶ受験生の、基礎確認問題として活用できるかと思います。
第1問
工程別標準原価計算(歩留・配合)に関する出題です。難易度は比較的易しく、完答も可能だったのではないでしょうか。 第1工程で歩留・配合差異を分析できるかが鍵となります。なお、第1工程完了品数量は減損後の数量になっていますので、完了品数量より減損前の標準投入量を計算できれば、突破できる問題です。
第2問
原価計算基準からの出題です。主に標準原価に関する理論ですので、第1問と合わせて復習されると効果的かと思います。
◆原価計算
第1問
追加注文の引受け可否を問うています。 なお、既に保有している在庫の帳簿価額については、埋没原価となるので注意して下さい。
第2問
最適セールス・ミックスの決定を問うています。本問の場合、工場の製造時間が共通の制約条件となっていますので、当該制約条件単位当たりの貢献利益額で優位性のある製品を決定し、そちらを優先的に製造・販売する考え方を採ります。
第3問
長期意思決定に関する出題です。具体的には、取替投資を問うており、差額キャッシュ・フローを作成し、適切に解答する必要があります。問題自体の難易度はそこまで高くありませんので、投資を行わない案を基準として、どれだけ利益が増加するのかを、漏れがないように注意深く計算してください。
◆工業簿記
第1問
実際組別総合原価計算に関する出題です。ただし、加工組立型産業を題材とした、普段の総合原価計算と一風変わった出題であったため、問われている内容は基本的でも、どの資料を使っていいのか分からず悩んだ受験生も多かったと思います。
ケース製造のための材料と、製品製造のための材料を資料より適切に判断し、実際消費量を正確に按分できるかが、ポイントになります。材料の種類が多いので集計ミスにも注意です。また、出題方法が標準原価計算と似ていますが、製造原価の計算はあくまでも実際消費額で計算することに気をつけてください。
なお、このように「知らない」問題が出題された場合に備え、問題対応力を磨いておくようにして下さい。そのために必要なことが「工程のイメージ化」です。どのような製造工程になっているかをメモ用紙に書き出し、製品の流れと原価の流れを結びつけるように考えると、原価計算が面白いように理解できるかと思います。
◆原価計算
第1問
予算実績差異分析に関する出題です。工業簿記が少々時間の掛かる読み難い問題だったので、試験としては、時間配分が鍵となりました。時間配分さえ気をつければ、原価計算の問題の難易度は高くなく、完答もしくはそれに近いレベルで解答できるのではないでしょうか。対話文形式の出題に苦手意識がある受験生も多いですが、丁寧に読み進めていくと、会話の中にヒントが沢山隠されています。文章を何度も読み返し、内容を把握したうえで分析を行ってください。