難易度:難しい
評価:
《第1問》
仕訳問題です。論点としては、現金実査、仮払金の精算、手形の裏書、固定資産の購入、売掛金の貸倒を出題しています。どれもかなり難易度の高い問題で、本当に簿記を理解していなければ解答がどれも難しい問題です。ただし、実務を考えた場合、これらの問題よりも考慮する事項が多いため、自信がある方の腕試しに使って頂きたい問題です。特に5.の売掛金の貸倒に関する問題や、1.の現金預金に関する問題は難しいですが、税理士などの高い会計職を目指される方はこれくらいの問題が解けるようにならなければいけません。詳しい内容は解説に記載していますので参照してください。
《第2問》
有価証券の取得と売却に関する計算問題です。移動平均法によって正確に払出単価を計算できるかが鍵を握っています。移動平均法は、取得の際に平均単価が変動しますので、その点を確実に理解できているか否かで解答できるか否かが変わってくるでしょう。総平均法や先入先出法との違いを明確に理解する必要があります。これらの払出しの仮定計算は、特に実務において商品の払出計算にも影響してきますので、簿記を仕事に活かそうと考えている方は必須の考え方です。
《第3問》
月初の残高試算表と期中の勘定及び補助簿の記入内容(「?」の部分は推定する必要があります)に基づいて月末の残高試算表を完成させる問題です。
推定箇所が多く、簿記を理解し、勘定と補助簿同士の繋がりを密に意識していなければ解けない問題になっています。簿記の攻略には特に勘定の理解が不可欠です。日商1級や税理士・会計士に至るまですべてに勘定の理解は必要ですので、何度も勘定を白紙に記入するなどして、仕訳と勘定の繋がりを意識した学習を行うことが望まれます。簿記の難しさは勘定のややこしさにありますが、簿記の面白さも勘定の繋がりにあります。この問題が解けるようになれば、簿記の面白さがより強く感じられるでしょう。
《第4問》
固定資産の減価償却に関する問題です。減価償却累計額から取得原価を推定する必要があります。このパターンの問題は、特に上級試験(1級や税理士試験など)で出題される内容ですが、減価償却計算の基本原理は級によって変わるものではありませんので、3級を受験される知識でも十分に考えれば対応可能です。本問は、点数を取ろうと考えるのではなく、頭を悩ませながら答えを出した時の達成感を重視して解くと、面白味が出てくるでしょう。
《第5問》
財務諸表作成に関する問題です。ただ、残高試算表に推定箇所が多く、素直には解けないのが本問の特長です。おそらく、1級や税理士試験に合格している方が解いても、簡単には解けない問題でしょう。しかし、その内容を深く考え、頭を悩ませ、最後まで諦めない所にこの問題の深みが隠されています。分からなければ、勘定を全て白紙に記入してみて、ひとつひとつ推定するのもいいでしょう。1日で終わらなくても、何日かけてでも本問をクリアすることで、簿記のレベルが桁違いに向上します。
3級は簿記の基礎の試験ですが、レベルの低い試験だということではありません。簿記の基礎は上級試験もすべて共通して必要な技能です。3級の出題内容でここまでの難易度のある問題は他にないと断言できます。過去問題や模擬問題などで高得点を採れるようになっているのであれば、是非、力試しで解いてみて、頭をひねらせ、クリアして下さい。
【ご利用上の注意】
第3回の模擬試験は、難易度をかなり高めに設定しており、思考力・知識力共に十分な実力がついている状態でなければ解けない問題です。
本問を試験対策用の問題として利用される場合、第1回・第2回のみを優先してご利用いただき、自信のない方はご利用を控えることをお勧めいたします。
<この問題に関連するキーワード>
一般商品売買
現金預金
金銭債権債務
有価証券
有形固定資産
見越・繰延
その他の特殊項目