難易度:普通
評価:
《問題1》
予算実績差異分析に関する問題でした。通常は直接原価計算をベースに計算しますが、本問では全部原価計算をベースとしています。しかし、固定費等に関する資料はないため、売上原価を変動売上原価と同等に考えれば、通常の問題と同じです。また、差異の名称も通常学習するものとは異なる出題であったため、出題自体は基本的でしたが、対応力が求められている印象でした。
《問題2》
事業部制会計に関する問題でした。以下の2点において、指示が不足していると思いますが、難易度は平均的でした。指示が明確であれば、基本的な問題だったと思います。
① 問2と問3の「全社」欄が何を意味しているのか不明
→過去の出題(173回原価計算)では、「各事業部欄には内部取引を含めるが、全社欄には内部取引を含めない」と指示がありましたが、今回はその指示がありませんでした。当校では、過去の出題を踏まえて全社欄には内部取引を含めずに解答を作成しましたが、採点上は配慮していただきたいところです。
② 問3の振替価格が不明
→問題文には「現在の振替価格を見直す」とありましたが、見直し後にどのような振替価格を使用したのか指示がありません。当校では「事業部の収益性を適切に把握する」という文言から、この状況で最も適切と思われる「市価差引基準」で解答を作成しましたが、採点上は配慮していただきたいところです。
《問題3》
埋没原価に関する説明を求める問題です。字数制限があるため、必要な単語を含めて、端的に答える必要がありましたが、意思決定会計において学習する基本的な用語ですので、サービス問題に近いと思います。
《総評》
多少の指示不足と思われる部分がありましたが、全体的に標準レベルの出題で、試験問題の難易度としては良問だったと思います。完璧とはいかずとも、十分な学習をされてきた方は自信をもって解答できたのではないでしょうか。最近の問題は標準レベルでの出題が続いていますので、今回の試験で手ごたえがなかった方は、日ごろから、単に数値を出せたことに満足せず、数値の意味を理解しながら過去問題を演習しましょう。
なお、各学校等の解答速報で解釈の差が出る気がしますが、合否に影響はないと思われます。